運命の転機は三十歳でした。(夕映月子)


運命の転機は三十歳でした。 (クロスノベルス) 運命の転機は三十歳でした。 (クロスノベルス)
夕映月子 サマミヤアカザ

笠倉出版社 2017-01-10

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ボーイズラブ・レビュー

新年早々、夕映月子さんの新刊ですよー!!!
久しぶりで、しかも新書!! さらにイラストがサマミヤアカザさんとかテンションあがらないわけがなかった……。
表紙をチラ見した夫が「腕組んでるほうが受」とか即座に判定してたけど私は無実。
特に教育とか調教とかしてませんから!

さて三十歳の男がふたり。
リーマンものかつ同居ものです。
いいですよねー!
「お互い30歳まで独身だったら一緒に暮らそう」
とかBLにおける約束としては超絶フラグです。
しかし腐女子たちもよくtwitterで、老後一人だったらみんなで老人ホーム立てて一緒に暮らそうとか言ってるし、よくある話でもありますよきっと。
ノリと勢いで始まる同居ボーイズラブとか、これまさかその、ギャグベースですか夕映せんせい……!
裏表紙のあらすじ読みながら、新境地開拓きましたよってドキドキでした。

紹介文です。

以下ネタバレ妄想注意!

おまえだったら六十のじいさんでも可愛い。
大手メガバンクに勤めるエリートサラリーマンの透は、仲間うちで美人のジャイアンと呼ばれる傍若無人なオレ様。「三十過ぎて独身だったら一緒に住もう」と約束した悪友たちの中で独身なのは透よりもハイスペックだけど貧乏な学者の東元と二人だけ。そんなある日、東元が透のマンションに「迎えにきた」と引っ越し業者とともに現れて──!?ボロい一軒家でぐずぐずのメロメロに甘やかされる彼との同居生活は透をもっとダメにして

仲間内の飲み会で酒の勢いで男同士が同居の約束をしたかと思ったら、画策した東元は翌日には引っ越し業者を引き連れてお相手の透の家に押しかけます。
次の日かよ! と思わず突っ込んだ電光石火。
そのまま勢いに任せて引越しからの同居が始まり、東元はここぞとばかりに透を甘やかしまくります。
おうち帰ったら晩御飯があってお帰りお疲れすぐご飯ですよって、なにその天国!
私でも惚れてまうやろ……。

美人なジャイアンになんでこんな素敵同居人が!!
と歯噛みしながら読んでおりました。
そんな極楽同居生活ですが、唐突にそこに亀裂が走ります。
東元は職が安定しない以外はフルスペックでハイスコアなイケメン三十路男ですが、安定してないと思っていたのは透だけで、実はそこそこもらっていた――というのが途中で発覚し、優越感に浸っていた透はショックを受けて家出してしまうのです。
経済力だけは飛びぬけていたと思っていたというのになんたることか、というのと、それよりも今までその事実を東元が黙っていたというのが色々と混ざり合って透の心中は大惨事です。

引き払わずにいた元のマンションに転がり込み、しかもそこで風邪を引いてこじらせて死にかけたところを東元に回収されるという残念なジャイアン。
性格は俺様なのにけっこうかなり繊細だし、いうほど鈍感でもなく、ぐずぐずに甘やかされているうちに芽生えた恋心にのた打ち回る羽目になります。
今まですき放題に振舞ってきたのに、東元の好みに合わせようとしたり、どうやら彼には決まった相手がいるようだと知って落ち込んだり、美人ジャイアンの乙女化が思いのほかかわいいんですよね、かわいい。

好きになるのに物理的な距離感大事というのが良くわかるこの同居ラブ。
22歳から30歳目指して狙いを定めてきた東元の執念と作戦勝ちというやつでしょうか。最終的にはなんと、透から東元にのっかってオモチャの手錠片手に強引にベッドの相手を迫ります。
まさかの!襲い受!!!!!
夕映せんせいどうしちゃったの!!!!!?????
かわいいと思っていた受がまさかの襲い受になって、私の内心は嵐のよーでした。
しかし自分から乗っていってもやっぱり透はかわいかったです……。
わかる、東元の気持ちわかりすぎる。

しかもこいつら、新婚旅行でアラブ行ってんの!!
うらやましすぎない……?
オマーンの砂漠でキャンプとか、砂漠の戸建スイートでラブラブえっちとか……妄想滾りすぎてやばいんですが!
旅好き同士がくっつくとこうなるのか感と、乳香とバラの香りに包まれて砂漠でいたすBLカップルを前に、おかしい私はリーマンラブを読んでいたと思ったのに実はアラブBLを読んでいたの? と錯覚し始める始末でした。

さすがクロスのベルさまというべきか、ベッドでのギシギシがしっかりあってそっち方面でも満足な1冊でございました。
友達として同居を始めて喧嘩別れして、仲直りしたと思ったら修復後の関係は恋人同士という展開がナチュラルに繰り広げられており、男同士の友情とは地続きで愛情にシフトチェンジするものなのだという夢を見せていただきました。
ごちそうさまでした!