狼は花の馨り 1(りゆま 加奈)

2019年10月9日

狼は花の馨り 1 (Dariaコミックス)
りゆま 加奈
フロンティアワークス (2015-08-22)

ボーイズラブコミック・レビュー

民族BLです。
狼でてきます。
ボーイズラブでファンタジーというだけでも貴重なのに、狼が出てくるとかもう最高。
これ、シリーズの2作目なんですが、この本からでも問題なく楽しめます。
(1冊目は「狼は恋に啼く」)
というか、個人的には断然、この2冊目がドストライクでした!!!
白鹿と黒狼が昔、番になったのが始まりで、それ以降、白い髪の子供(白鹿)が産まれると性別を問わず王族に嫁ぐという決まりがあります。
BL的には大変重要な設定ですね!
白鹿はどこで産まれるか分からないので、産まれたら国にちゃんと届けないといけない決まりがあるようです。
つまり白鹿に産まれたらその瞬間から、将来の安泰が保証されているはずなんですね……。

以下ネタバレ妄想注意!

紹介文です。
むかし、狼と白鹿が恋に落ち、番になった。その血を色濃く受け継ぐ白い髪の子供は「白鹿」と呼ばれ、代々王族の番となる宿命だった——。王都を守る兵士のイルウェスはある村で幽閉されていた金色の瞳の白鹿を助け出す。やせ細り言葉も話せない白鹿に『アルタ(金色)』と名付け、二人は少しずつ心を通わせていく。美しいもので溢れる外の世界に目を輝かせる無邪気なアルタを「守ってやりたい」と願うイルウェス。だが、アルタは掟により王族に嫁ぐ運命で——…。独りの兵士と純粋な白鹿の身分違いの恋。

このお話のポイントは何といっても、インプリンティング!
ここにつきます。
良いですよねー、初めて心を許した相手にそのまま惹かれていく流れ!
白鹿に産まれたにもかかわらず、金色の痣と、産まれたタイミングで村に疫病が流行ったという理由で、ろくに世話もされず土倉に監禁されて育った少年。言葉もまともに喋れず、怯えた獣そのものだった彼を、王家の兵士達が発見して保護してくれます。
保護されてもテントの片隅でガタガタ震えていた少年をなんとか落ち着かせて懐かせた青年こそがイルウェス。
保護者系攻でございます。

もうねー、イルウェスにだけ懐く白鹿ちゃんが可愛くて可愛くてたまらんのですよ。
なんというか、これは守ってあげたくなるよね! というオーラが迸っています。
子供は親が大好きなものですが、それが自分を苦境から救ってくれた相手となればなおさらでしょう。
もちろん、彼らの中にある最初の感情は、親子の情100%です。

そこからが問題ですよねー。
白鹿ちゃんは王族に嫁ぐと決まっていますと女官たちに教えられて、はて嫁ぐとはなにか? となり、帝王教育のての字も知らない白鹿ちゃんは、どう考えても自分が大好きでずっと一緒にいたいのはイルウェス!となってしまいます。もちろん、まだ恋心なんて自覚はないです。
イルウェスも、保護者の気持ちと、そうではい感情との間に揺れ始めます。

当て馬になる事がほぼ確定しているちょっと気の毒な王子様も、これがまた悪い男じゃないんですよねええええ!無骨なんですが基本的には優しいわけです。

さー白鹿ちゃん、これ、もうちょっと成長して周りが見えるようになったら、決められた運命のまま王子様の伴侶になるべきか、自分の意志を貫いてイルウェスラブに突っ走るか、ものすごく迷って葛藤しまくるか……。
この先の展開が楽しみすぎます。

保護者から恋人への気持ちの変化とか、周囲のどうしようもない環境とか圧力とか、ファンタジーBLならではの山あり谷ありの2巻を心待ちにしたいと思います。