白雪姫の息子(犬飼 のの)

2019年10月9日

白雪姫の息子 (角川ルビー文庫)
犬飼 のの
KADOKAWA/角川書店 (2015-10-31)

ボーイズラブ・レビュー


いやーもうね、蒼穹のローレライの直後にこの作品を読んでね、ボーイズラブというジャンルの懐の深さにしみじみしてしまいましたね。
前者がドシリアスのヘヴィー級BLなら、こっちは濃厚官能エ口童話BLで、作風とかテンションの落差に目眩がするかと思いました。
すごいね……海のよーに広くて深いわ……。

タイトルからド直球なんですけど、童話ベースのギシギシ満載BL@近親ラブものでございます。
ちゃんと王子様出てきますよー。
相手がお姫様じゃなくて男なだけですよー!
あとイラストが表紙から色気ムンムンです。

以下ネタバレ妄想注意!

紹介文です。

母・白雪姫に似た美貌が災いして父王から城を追われた王子・スノーホワイト。クロウと名を変えさせられ、森の奥で孤独に暮らす彼の許に現れたのは、猛々しい野獣・ビーストだった。何故か毎日クロウの許に通うビーストを怖々招き入れると、ビーストは突然獣人と化し、理性を失ってクロウを蹂躙してくる。乱暴で一方的な性交―けれど愛を知らない純粋さ故に、クロウはそのたった一度の快楽を忘れることができなくて…。犬飼のの×笠井あゆみの強力タッグが贈る、濃厚官能童話。

弟が塔に幽閉され7人のエルフたちと暮らす……なんかラプンツェル混じってる!
ついでに美女と野獣とか眠り姫とかもミックスシャッフルされております。
その昔、グリム童話を書いたグリム兄弟も、残酷部分が隠されるだけならともかく、白雪姫の息子が兄弟同士で乳繰り合うパロが出現するとは夢にも思ってなかったんじゃないでしょうか。
しかも白雪姫の下の息子、塔でエルフのせーえきをご飯にすくすく成長してたとか……目ン玉ひん剥きましたよ……エルフさん自分たちの魔力を分け与えるのに下半身使うとかなんという役得!

白雪姫が受けるはずだった呪いを胎内で受けちゃったお兄ちゃんは夜な夜な獣人になって暴れ回るし、弟は魔力の宿った髪で獣人になったお兄ちゃんを押さえ込むし、マジカオス。
ラプンツェルと化した白雪姫の息子(弟)は、自分の兄が王子様だということを知らないし、夜な夜な訪ねてくる獣人になる男が王子様で自分の兄だと言うことを知らずに恋してしまいます。しかもそれをストレートに告白しちゃいます。
一方、弟への恋心を圧し殺しまくってたお兄ちゃんは死ぬほど気を揉んで頭を抱え煩悶します。
彼、ヘタレというか常識人なんですよね……。

弟への愛が深すぎて挙動不審になったり、自分に素直になれなかったり回りくどすぎる愛情表現で、純真すぎる弟を悲しませておりました。

ベースが童話なので、紆余曲折あれど愛の力で呪いは解け、兄弟はさまざまな壁を乗り越えて無事、カップルとなり、いつもは当て馬兼クーデターがお仕事の叔父様が王様になっておりました。
白雪姫を息子としてよみがえらせよう、穴の位置など些細な問題だ!! って本気で想ってた国王パパも、ちょっと近くにはいて欲しくないけど、なんか憎めないほどに突き抜けてぶっ飛んでて良い味出してました。

もう超平和。基本平和。
安心して読めるし、なんかエ口いし、脳内にお花畑ができる感じの作品です。
大好き。