パブリックスクール-檻の中の王–群れを出た小鳥-(樋口 美沙緒)
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ボーイズラブ・レビュー
樋口 美沙緒さんの2冊に渡って描かれたイギリスはパブリックスクールの由緒正しいボーイズラブです。
もうBLでパブリックスクールといえば風と木の詩という超名作古典が浮かびますが、こちらもなかなかの読み応えでした。
発売とほぼ同時に買っていたのですが、仕事が忙しくて結局、2冊同時に読んでしまいました。
不安定かつ未完成な年頃の男子たちが繰り広げる愛憎劇……学園モノBLが大好物な私にはたまらない設定でございます。
そしてイラストも作品とマッチしていて素敵な雰囲気でした!
というか、2冊目の「群れを出た小鳥」まで待った人、さぞ焦らされたことでしょうね……。
以下ネタバレ妄想注意!
紹介文です。
名門貴族の子弟が集う、全寮制パブリックスクール―その頂点に君臨する、全校憧れの監督生で寮代表のエドワード。母を亡くし、父方の実家に引き取られた礼が密かに恋する自慢の義兄だ。気ままで尊大だけれど、幼い頃は可愛がってくれたエドは、礼の入学と同時に冷たく豹変!!「一切誰とも関わるな」と友人を作ることも許さずに!?厳格な伝統と階級に縛られた、身分違いの切ない片恋!!
現代において「格差社会」ならぬ「身分違い」なんてワンタジーワードがしっくり来ちゃうイギリスのパブリックスクールさすがすぎます。
貴族の青い血を地でいく連中が闊歩している腐女子の楽園!
そんな中に放り込まれた、父親が由緒正しい貴族だけど日本の庶民として育った受ちゃん……マジ小鳥。
小鳥でまさかの天使設定で、もう世俗にまみれた私は何度キーッ!!!!ってなったことか。
大好きな異母兄弟を追ってパブリックスクールに無理矢理入学するも、それが原因でものすごく辛く当たられ、他の生徒と口をきくことも許されず、身を縮めるように学園生活を送る礼。
どんだけ言われるままに日常生活を犠牲にする気だよ正気か落ち着け人権どこ行った!!! みたいな前半ですが、ほんっとーに礼は健気に耐えます。彼の世界は狭すぎたし、魑魅魍魎たちから礼をなんとか守ろうと足掻いていたエドワードも、未熟で無力な子供でした。
そんな礼の世界の窓は、周りの仲間達によって少しずつ開かれ、礼を囲うことによってのみ守ろうとしていたエドワードもまた、力をつけ、大人になっていきます。まさに箱庭の環境で歪んだ純粋な愛情が煮詰められ、爆発し……タイムリミットが来て2人は箱庭から旅立ちます。
案の定というべきでしょうか。
たぶん、先に大人としてバランス良く成熟したのは礼の方でした。
エドワード……君は前半に礼にした仕打ちを考えれば、相当な攻ザマァな目に遭ってもおつりが来るくらいだったと思うんだが、礼が天使すぎたせいと、歪な環境でのアンバランスな心の成長が情状酌量されたのか、ほとんど痛い目を見ないままハッピーエンドに一直線なラッキーボーイでしたね……。
もうほんとにね、他人と口をきくなとか、風呂には他の生徒に見られないように最後に入れとか、学校行事にも参加するな、この授業には出るな等々、束縛まみれの生活を送らせた挙げ句に無理矢理ギシギシに持ち込んだ攻とか、普通はもっと酷い目に遭うんだよ!!!
礼を育てた母親と、虐げられても愛を信じ続けた礼の精神力に全力で感謝すべきだと思う……。
ラストのくだり、日本で再会しておそるおそる距離を縮めていく2人が今さら初々しくてゴロゴロと萌転がっておりました。
学園ものとか寮生活とか兄弟ラブ等が好きなら、どこかは萌ツボにはまって、かなりしっかり楽しめると思います!