黒の騎士 Prince of Silva(岩本 薫)

2019年10月9日

ボーイズラブ・レビュー

出ましたね、3冊目!
青の誘惑碧の王子 に続くシリーズ続刊です。
ボーイズラブの長めのシリーズが最近減ってきているので、Prince of Silvaシリーズは毎度楽しみにしています。
だいたい、1冊完結か、多くても2、3冊ってパターンが多いからなあ。
私は長編シリーズ大好物なので、連作短編じゃない1つのカップルの話が何冊も続くとそれだけでテンションあがります。
BL系の版元さんは前みたいにご長寿シリーズ出してくれて良いのよ……

さてジャングルの野生児から一国を牛耳る一族の跡取りになってしまった少年のお話、どんどん進んできましたよ!

以下ネタバレ妄想注意!

紹介文です。

「俺たち・・・恋人同士だったんだ」
南米の小国エストラニオで絶大な権力を持つシウヴァ家の若き総帥・蓮。すべてを手にしているはずの蓮が唯一望むものは、幼い頃から蓮を守り、十八歳となった今も側近として仕えてくれる鏑木だ。主と部下という立場を忘れ抱き合った翌日、緊張する蓮の前に現れた鏑木は、何事もなかったかのように振る舞い、ふたりの時間を避けるようになっていた。恋人になれないことはわかっていた、でも・・・ふたりの関係がぎこちなくなったある日、蓮を庇って事故に遭った鏑木は記憶を失い!?

側近に恋して前巻で告白&1度で良いから抱いてくれのコンボの後、見事玉砕した蓮ですが、まあそう簡単には諦められるわけがありません。
それでも理性はあって、諦めようと努力はするんですがその様が健気で可愛いんですよね。そしてアタックされている鏑木も、実は若い主人を、主以上の感情で愛しちゃってるのが見ていてダダ漏れでして。

なんだこの「両想いだけど立場が許さないからくっつけない」
という主従BLの王道設定。
ヨダレが止まらんじゃないか!

鏑木の方が年を食ってる分、より周りの景色が見えており、なんとか蓮に諦めてもらおうとはするのです。
二人きりにならないようにしたりプライベートな会話は意識的に避けたり……って、どんだけ不器用! 別れたけど委員会で絶対一緒になる時間が多くなって気まずいけどなんとか距離を取りたい中学生か!!!
百戦錬磨の側近にしてはお粗末な対応でして、それがまた蓮をこじらせるんですね。

そな状況での事故、からの鏑木の記憶喪失です。
すごいよまったく覚えてないんだよ……そして、記憶を取り戻させるために初めて出会ったジャングルでサバイバル生活ですよ。
蓮くん、罪悪感にかられながらも、おれたち恋人同士だったんだって嘘ついちゃって、忘れてる間だけでもってラブラブライフに突入しちゃうんです。これは切ない。
もちろん、お約束のように、記憶を取り戻したら昔のことは忘れましたって鏑木はのたまいます。

言ってるだけで、実は覚えてるんですけどね……。
そして蓮は、もう我慢しないコースを選択します。
イバラ道でも男の側近と添い遂げることを決意し、鏑木も覚悟を決めます。
いいぞいいぞもっとやれ!
一族直系の血筋はどないすんねん……と腐女子ならずとも頭を抱える案件ですが、愛の力で乗り切ってくれることでしょう。
最近のBLは受の妊娠出産が一般化してきていますが、世界観的にそれはなさそうなので、大変に読み応えのある一族まわりとの軋轢とか本人達の葛藤をゲス顔で待ちたいと思います。