殉恋王子(辻内 弥里)

2019年10月9日

殉恋王子 (ダリア文庫)
殉恋王子 (ダリア文庫)

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辻内 弥里
フロンティアワークス (2016-03-12)

ボーイズラブ・レビュー

ファンタジーBLです。
そして辻内 弥里さんのデビュー作です。
ボーイズラブ小説でファンタジーでデビューとか胸が高鳴るじゃないですか。
ダリアってあんまりファンタジー出すイメージなかったんですが、何かあったのでしょうか。
なにはともあれ、本屋でテンションあがって即買いしてきました。
架空の王国の跡目争いと主従ラブでございます。
下克上BLですよ、表紙見たらわかりますけどね!

以下ネタバレ妄想注意!



紹介文です。
エリスランド国の第一王子・ディーネは、王位争いで、孤独な闘いを強いられていた。そんな彼の心の支えは、自分のみに忠誠を誓う、美しく凛々しい近衛兵のシュリ。ディーネは彼に主従関係以上の想いを抱くが、己の立場を慮り感情を押し殺そうとする。ある日、雨宿りのため宿屋でシュリと一夜を共にするが、溢れる想いは止められず…。禁忌と官能が織りなす、切なくも美しい主従愛。

切な系の陰謀交じり純愛ものでした。
側室の第一王子が王位継承権第一位であったために正妃が一族もろとも発狂して側室をあの世に蹴落とし、王子も継承権争うから退場させられそうになり……という筋書きなんですが、この、王子様の側近ね。
イケメン一途な忠犬に王子様は惚れちゃいます。
惚れちゃいますが身分差はあるし宗教上、同性愛は禁忌の世界です。
でもここで理性が仕事したらBLとして成立しないのでもちろん、感情優先で最後まで致してしまいます。
なんですが、これねー、攻の忠犬従者。
実は敵の人だったんですよね。そんで、致してる現場をバッチリ押さえられちゃう。
もちろん、即刻、逮捕投獄追放の3コンボかまされてあっけなく戦線離脱です。

でも、忠犬シュリちゃん、ミイラ取りがミイラになる感じで、流刑になった王子様を追いかけて添い遂げちゃいます。
確かに純愛やった。それは間違いない。

デビュー作とは思えないほど読みやすかったし、途中で手も止まりませんでした。
わがままを許してもらえるなら、王子様、母親の望みとか恨みとかそういうのとか、王族としての立場とかにもうちょっとしがみついて戦ってもよかったんじゃないのかって言うところですかね。
追放されても最終的に恋愛面では100点満点のハッピーエンドなんで、そこはほわほわ素敵な気分でした。
が。
ファンタジーなので!
こう、相手方に一発かましておきたいというか、何がしかのカタルシスがほしかったかなって……。
だって結局、政治上の権謀術数的にはボコボコに負けてますからね!
読んでるこっちがハンカチ噛み千切る勢いで悔しい気分になっておりました。

2冊目、どんなの出してきてくれるのか楽しみです。