愛の在り処をさがせ! (樋口美沙緒)

2019年10月9日

愛の在り処をさがせ! (白泉社花丸文庫)
樋口 美沙緒
白泉社 (2016-11-19)

ボーイズラブ・レビュー

ものっっっっすごく久々の更新過ぎて、もう感想書きたいBL作品がえらいこっちゃな量になっており、どうしようかと頭を抱えておりますが、ぼちぼといきます。
さてムシシリーズの6冊目です。
ボーイズラブも作品が多様化して久しいですが、この作品はモフモフではなく虫!虫です……!!
人間が生き残るために虫と融合して虫の特性を持って暮らしている世界です。
でも大丈夫!みーんなちゃんと人型で登場するので、虫が苦手でも萌えるの余裕です。
今回のカプはグーティ・サファイア・オーナメンタル・タランチュラ×性モザイクのナミアゲハです。
書いててわけ分かんないですけど、そのまんまです。
それぞれの虫の特性を持った人型男子が我々を萌へと導いてくれます。

以下ネタバレ妄想注意!

紹介文です。

ナミアゲハ出身の葵は、ロウクラスに紛れ隠れるようにタランチュラの子供を育てていた。ある日、グーティサファイアオーナメンタルの最後の1人で、ケルドア公国大公シモンの来日を知り心を乱され…
2016年11月刊。

性モザイク……男女半々の身体で生まれた葵は、主治医のパートナーに影響されて子どもが欲しいと思うのですが、何しろ相手が見つかりません。そんなときにわざわざ性モザイクを指定して「子供が生まれたら結婚したい」と言ってきた異国のハイクラス王族がいたのでほいほい嫁ぐつもりで出かけていきます。
病弱なのにすげーフットワークというか、何かそれだけ寂しすぎて追いつめられていたんだなって切なくなりました。
が、もちろんそう上手くいかず、求婚してきたハズのお相手は葵のことを子どもを産む道具発言をぶちかましてその通りに扱うし、周りの使用人も部外者には死ぬほど冷たいし、姑に至っては顔を見るなり罵詈雑言の嵐です。
現代日本なら大炎上案件なうえ即刻離婚沙汰な環境ですが、葵はなんとか心を通わせようと、子供を産めば夫になる予定のシモンとのコミュニケーションを頑張り続けます。このシリーズの受ちゃんはほんとに健気な子が多くて……。
しかもスーパー攻様の資質は十分持ちながら、精神的発達が未熟すぎたシモンが葵と意思疎通するのは大変な困難を伴いました。
結局、葵の命に関わる事件をきっかけに愛が深まる――こともなく、葵は日本に帰され、母国でひっそりと子どもを出産して育てることとなったのでした。

不甲斐ない!!!!!シモン!!!!
不甲斐なさ過ぎる!!!!!

葵を守るためにはとりあえず日本に……という判断は間違ってなかったにしてもだよ。
なんでちゃんと考えてることを話さない!
アホか! 
色々とお子様過ぎるだろう!!!
しかも帰した後に追跡調査的なことすらさせてないとは……。
愛を疑われても一切反論できない流れですよ。

訪日したことがきっかけで子どもの存在が明るみに出て、なんとかやり直すに至りましたが、シモンは一生、自分のために奔走してくれたフリッツに感謝すべきです。
とにかく、愛が欲しすぎて見境がなくなっていた葵と、愛とは何かを知りもしなかった男との恋愛は、ほとんど400ページを費やしたにもかかわらずスタート地点に立ったところです。
むしろBLらしくなるのここからだろう!!!
という感じなので、ぜひとも続編を希望したいところです。

それにしても性モザイクが受のお話はデビュー作から2冊目ですが、こう、深いところまで抉るようになってきたなあと思います。
次のお話も楽しみです。