イケメンになっても俺は俺だった(涙)(朱色)

2019年10月9日

ボーイズラブ・レビュー

なーんも考えたくないときに読むといいよ!

ってweb小説の達人が紹介してくれたから、言われたとおりに頭がパーンしてるときに読みました。大正解でした。ありがとう友よ……。
それにしてもwebからの再録で小説になると何でこんなに変形サイズで分厚くなるんでしょうね。二段打ちでもないのに!
それがとっても不満です。文庫か新書サイズに統一してほしいと願っているので、最近はこの変形サイズの本は買わないようにしております。高いし重いんですよ、本棚でも幅取るし文庫の段に入れられないし。

サイズの不満はこのくらいにして、作品の内容です。
内容は…ないよう……
ボーイズラブを愛好していてもインモラル系が駄目ならお勧めはしません。
なぜなら、全力で家族総出でチュッチュらぶらぶしていますからね。

とにかく、頭空っぽにして楽しめます。
主人公はエ口あほだし、周りのキャラもひたすら主人公にぞっこんだし、大前提の転生設定以外は平和なラブコメそのものです。疲れたときでも安心してお召し上がりいただける安全設計仕様となっております。

以下ネタバレ妄想注意!

紹介文です。

圧倒的な地味顔で、自分のお尻が唯一の恋人のさみしい男・有栖春。彼に突然、人生最大のチャンス「イケメン転生」が到来!「朝宮藍」になった有栖を迎えてくれたのは、お父さんの雅さん、弟の暁くん、教育係の柏木さん。みんなイケメン。でも彼らから受ける視線は、普通の我が子や兄弟に対するそれじゃない!そして(わりと簡単に)一線を超えさせられてしまい、人生いきなり大波乱。しかもこの家族、何やら大きな秘密を抱えていそうで…。イケメンに転生した男が家族に篭絡される!?総受けインモラルコメディ!

この紹介文には肝心なところが書かれていません。
主人公を転生させたのはその辺から沸いて出た腐女子の女神で、転生させられた先はその女神の妄想の産物たる異世界であるという点です。そう、これは一人の、ちょっと壮大な力を持った腐女子が脳内創作を楽しんだ結果なのです!!! アホか!!!!!

その女神はイケメン好きなので、イケメン・金持ち・主人公総受とか、とにかく自分の妄想の限りを尽くした設定で世界を構築したのはいいものの、肝心のキャラが思うように動いてくれなくて何回やり直しても主人公が闇落ちして終了というバッドエンドループに陥ってしまったので、ここらでちょっと新しい風をということで、地味顔の男を適当に見繕ってお気に入りの主人公と中身をチェンジ、ついでに小学生まで時間を巻き戻してしまいました。

ね、もう前提の設定自体が深く考えるのを止めてくるんですよね……。

闇落ちまっしぐらの属性だった超絶美形な少年は、地味顔男と入れ替わったとたん人が変わったようになり、家族は狂喜します。そのまま仲良くファミリーラブコメになればよかったのに、主人公が女性を口説けなくて自分で致すプロフェッショナルになっていたがために、小学生の自分の体を開発し始めちゃうのです。
おまえの理性はあれか、ミジンコ以下か! という脆さです。
存在すら危ういレベルです。

そこから弟に篭絡され、父親は…どっちかというと篭絡し、通い始めた小学校の同級生もこの道に引きずり込み、特に罪悪感もなく全力でその都度の快楽を貪るという……インモラルコメディになってしまいました。
たいへん素直に快感に身をゆだねてしまうので、背徳感とかないです。

ただ、小学生でこれだからこの先の人生こいつマジどーなるんだろ?
っていう余計でまったくどうでもいい心配はあります。
もともと女性相手にラブラブしたいという野望を持っていたはずの地味顔男ですが、本来の目的すら見失いつつある有様ですから、もうお話の筋道とか起承転結とか、考えるのもあほらしくなります。

やー、ちゅっちゅしてて可愛いねえ楽しそうだねえ、みんなとラブラブでとっても幸せだね!
読んでた私の脳内も作風に合わせて素敵なお花畑になりましたよ♪

や、楽しかった。
でもうっかり普通のBLだと思って手に取ったらぶっ飛ぶというか本ん投げちゃうかもしらん。
そのへんは嗅覚を働かせるというか、帯見て悟ろう! という感じです。
人は選ぶかもだけど、結構おすすめです。